ヤギとヒツジによるエコ除草
愛知県一宮市に「大変ユニークな空き地管理」を行っている不動産会社さんがあるとの情報を入手したため、お話を伺いました。
取材をお願いしたのは、安藤不動産 代表 安藤寿(あんどう ひさし)氏。
ココカラ:
安藤さん、ユニークな空き地管理を行っていると耳にしました。
安藤氏:
アニマル除草のことですね。
ヤギやヒツジを使った、空き地の除草管理を行っているのですよ。
ココカラ:
それは確かにユニーク!
「ヤギやヒツジを使った空き地の除草」という面白い対策が生まれたきっかけはありますか?
空き地管理の必要性。 空き地が生むトラブルとは?
安藤氏:
今、空き地が増えてきています。
一宮市でも、農地だった土地を耕作する人がいなくなり、誰も手をつけなくなった土地をいくつも見かけませんか?
放置しておくと、雑草は伸び放題。
夏場はそれが「害虫の繁殖」につながったり、
冬場は「不審火の出火場所」となったりする可能性があります。
ですから、空き地の除草管理というのはとても大切だと考えています。
ココカラ:
確かに、私たちは害虫・害獣対策のお仕事を行っていますが、
空き地や空き家の近隣の方が困っている状況をいくつも見ています。
安藤氏:
しかし、空き地になるには理由があり、管理に人手やお金を多くかけられないことも。
定期的なマンパワーの投入は、どうしてもそれなりに管理費用が上がってしまいます。
人手や費用を抑えた空き地管理法を考えて生まれたのが、この方法。
「アニマル空き地管理」なのです。
「アニマル空き地管理」 その特徴とは?
ココカラ:アニマル空き地管理の仕組みと費用についてお聞かせください
安藤氏:
特徴や主な流れは次のとおりです。
1、1年間の年間管理
契約期間は、その年の年末までの「1年契約」となります。
・年3回のヤギやヒツジによる除草(1回あたり約2週間)
・柵の設置
・空き地管理のお知らせ掲出
・近隣から苦情対応
・定期見回り
2、警備会社とのタイアップによる防犯
警備会社とタイアップ、防犯カメラの設置などにより、空き地に対するいたずらや犯罪抑制に努め、安全性を向上させています。
3、地球環境に優しい
草食動物のヤギやヒツジが草を食べるという、単純で自然の摂理に則った除草です。
人間が草刈りをするとどうしても最後の処分は、焼却です。
燃やしてしまうので温暖化の原因になるCO2が発生しますが、動物でしたらその心配はありません。
4、コストを抑えられる
造園会社に100坪の草刈りを依頼すると費用は1回あたり数万かかり、人件費と草の処分代の高騰により、年々草刈り費用は高くなっています。
このヤギやヒツジを使ったアニマル土地管理であれば、100坪あたり年間9万円。
(50坪増加毎に4.5万円、250坪から50坪増加毎に2万円)
人がやるより費用を抑えることができます。
5、動物による癒やし
草食動物は人を噛むことがなく、万が一噛んだとしても牙がないので傷つけることがありません。
その安心感に加え、動物がひたすら草を食む姿は、小さなお子さんからご高齢の方までかわいく見守っていただけます。
★ヤギたちによる除草の様子が見られる動画がこちら ⇒ https://www.youtube.com/watch?fbclid=IwAR0R_Td-kmVahioa4Q5drtCbbtMJwv23C7EEhlCLGAmjyRDcexPAZbPzsCw&v=S1fN3XS9WPY&feature=youtu.be
ココカラ:
動物相手ですから イレギュラーなこともきっと起きるでしょうけれど、
お話を伺っていますと、経験から試行錯誤された工夫がいくつもあることもわかります。
安藤氏:
ヤギが好まない草があったとか、
テントに登られ破れてしまったとか・・・
思わぬことも経験しました。
しかし、たまたま近くにあった保育園の子たちが柵の外から見守ってくれたり、
近所のご高齢者が動物を目にして様々なお話をされたりと、
草刈り機による除草では絶対に出会うことのない、心温まる光景を見ることもできました。
ココカラ:
私たちは持続可能な社会づくりの視点が求められています。
「除草」を単なる作業だけで捉えると、もっと手っ取り早い方法は他にもありますが、
この「アニマル除草」はコスト面のメリットのみならず、
「地球環境」や「人のつながり」「癒やし」という豊かさももたらしてくれそうですね。
<取材協力> 安藤不動産 安藤寿氏 https://www.ando-fudousan.com/